遺言書作成支援

なぜ遺言書を残すのか?

そもそもなぜ遺言書が必要なのでしょうか?
例として、以下のような場合が考えられます。

  1. 家業を特定の者に継がせたい
    遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行って分割方法などを決めることになります。話し合いで決められなければ法律で定められている割合(法定相続分)に従って配分を決めます。⇒「法定相続分」についてはこちら
    家業に係る財産または会社の持ち分が分散されると、円滑な経営が困難になる場合があります。家業に係る財産は長男にすべて相続させるといった遺言を残すことで将来にわたって家業の安定が図れます。
  2. 相続人に未成年者がいる
    未成年者である相続人は、遺産分割協議に参加することができず、その子の親(被相続人の配偶者)がいたとしても利益相反行為になるため子を代理できません。このような場合には、家庭裁判所に申立てを行い、未成年者の代理人(「特別代理人」という。)を選任してもらう必要があり、煩雑な手続きとなってしまいます。
    この煩雑な手続きを避けるためには、すべての財産を配偶者に相続させる、という方法もあるかと思います。
    また、子が成人するまで(最長5年)遺産分割を遺言で禁止することもできます。
  3. 相続人の中に外国居住者、行方不明者がいる
    外国に住んでいる方と遺産分割協議を行うには困難が伴いますし、住民票や印鑑登録がありませんので特別な手続きが必要になります。
    また、行方不明になっている方がいる場合、遺言書がなければ、家庭裁判所に申立てをして、当該音信不通者・行方不明者のための「不在者財産管理人」を選任してもらってから、不在者財産管理人と一緒に遺産分割協議を進めていく必要があります。
  4. 子供のいない夫婦
    お子様がいない場合は、第二順位として「亡くなられた方の親」が配偶者と一緒に相続人になります。お子様もいない、両親もすでに亡くなられているという場合は、第三順位として「亡くなられた方の兄弟姉妹」が配偶者と一緒に相続人になります。兄弟姉妹に亡くなられている方がいる場合はその子(甥姪)が相続人となります。
    親しくお付き合いしてる方々であれば良いですが、疎遠になっていた場合は、一緒に遺産分割協議を行うのは手間暇と苦痛が伴うかもしれません。
    配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、配偶者にすべて相続させると遺言すれば兄弟姉妹には遺留分がありませんので、権利を主張されることもありません。
  5. 法定相続人でない人に財産を譲りたい
    例えば、長男のお嫁さんが長年介護をしてくれていても、長男の配偶者は法定相続人ではなく、相続する権利はありません。長男や孫が生存していれば間接的に財産を受け取ることもありますが、長男が死亡していて孫(長男の子)がいない場合は間接的な利益もありません。
    お世話になった人に財産を譲ることを遺言書に書くことで法定相続人ではない人に財産を残すことができます。
  6. 相続権を持っている人を相続から外す
    被相続人に対して虐待をしたとき、被相続人に重大な侮辱を加えたとき、その他の著しい非行があったときには、被相続人は家庭裁判所への申し立てと審判を経て、相続廃除することが可能です。排除された相続人は遺留分侵害額請求権もなくなります。⇒「遺留分侵害額請求権」についてはこちら
    廃除の申し立ては被相続人の生存中でもできますし、遺言で(遺言執行者が)申し立てをすることもできます。ただし相続廃除が認められる確率は、決して高くないようです。
  7. 結婚を選択されなかった方(おひとり様の相続)
    配偶者や子供がいない独身の方が死亡すると、その故人の親が相続人となります。両親ともに死亡している場合は、相続第三順位の兄弟や姉妹(その兄弟や姉妹が故人より先に死亡していた場合には、故人からみて甥や姪の方)が相続人となります。この、いわゆる“兄弟姉妹相続事案”の相続手続きは非常に手間のかかる作業になることがあります。
    この場合、故人(被相続人)の兄弟姉妹を確定するために、両親の出生から死亡までの戸籍を取得する必要があります。最後の戸籍のみでは前婚の子などが分からないためです。片親を共通とする兄弟姉妹も相続人になります(注1)。さらに、兄弟姉妹が先に死亡している場合は兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍を取得し甥姪の人数を確定します。そのうえで甥や姪の現在の戸籍も請求します。併せて、戸籍の附票も請求します。煩雑な作業を回避するためにも遺言書は有効です。
    また、おひとり様の被相続人にとっては兄弟姉妹(甥姪)で法定相続分の財産を分け合ってもらうよりは、お世話になった方、あるいは慈善団体等に寄付したいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?さらに、愛するペットのために、残されたペットの世話をしてくれる人に財産を遺贈するということもあるかもしれません。
    (注1)半血兄弟の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の、2分の1です。
  8. 同性カップルの方
    現在の日本の法律では同性カップルの婚姻が認められていませんから、パートナーに自分の遺産を相続させることはできません。ですが、遺言書を残すことでパートナーに財産を残すことができます。
    法定の相続人がいる場合、パートナーとの関係に理解のある方ばかりとは限りません。故人の真意に疑義を持たれることの無いように遺言書の種類は公正証書遺言を選択された方が安心です。また、法定相続人とパートナーとの遺産分割協議や、法定相続人からパートナーへの遺留分侵害額請求などを避け、両者の交渉をできるだけ無くしたいのであれば、財産の譲り方、遺言書の書き方には配慮が必要です。詳しくは専門家へのご相談をお勧めします。

遺言書の種類

遺言書ってどう書けばいいの?
ワープロで打ってもいいの?

  1. 自筆証書遺言
    全文自筆が原則。ただし、自筆証書に一体のものとして相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、自筆不要。
    年月日を自書する。「平成○○年〇月吉日」は、原則として無効。
    氏名を自書する。氏または名だけ、通称・芸名・ペンネームなどでも、遺言者との同一性が認められる限り、戸籍上の氏名と同一である必要はない。
    押印する。実印でなくてもよい。原則として、サイン(署名)は無効→ 在日外国人でも、印鑑による押印が無難。
    自宅で保管する。この場合は家庭裁判所での検認が必要。
    なお、遺言書保管所(法務局)で遺言書を保管する制度が開始されました。この場合は家庭裁判所での検認は不要です。
    ※「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
  2. 公正証書遺言
    公証役場にて2名以上の証人の立会いのもと、遺言者が公証人に遺言内容を口述する。公証人は遺言の内容を筆記し、遺言者、証人、公証人が署名・捺印する。
  3. 秘密証書遺言
    あまり事例が無いので説明を省略します。
  4. 特別の方式の遺言
    死亡の危急に迫った者の遺言、伝染病隔離者の遺言、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言がありますが、説明を省略します。
遺言書種類ごとの長所・短所
        長所        短所
自筆証書遺言
(自宅保管)
①本人だけで手軽に作成できる。
②遺言者の気が変わったら、すぐに変更、撤回が可能。
③費用がかからない。
①書式要件を間違えると無効になる。
②内容が法的に無効であったり、不明確なため紛争を生じかねない遺言書が作成されるおそれがある。
③変造、毀滅の危険性がある。
④家庭裁判所での検認が必要。
自筆証書遺言
(法務局保管)
①②本人が出頭し申請書を添えて遺言書を提出する。
③1通につき800円
①②同上
③変造、毀滅の心配がない。
④家庭裁判所での検認は不要。
公正証書遺言①公証人が法的観点から内容も点検するため、無効な遺言、内容の不明確な遺言の作成を予防できる。
②公証人の出張が可能なので、遺言者が病気等により自書や署名ができなくても作成可能。
③原本が公証役場に保存されるため、変造、毀滅の危険性がない。
④遺言執行前の検認が不要となる。
①公証人、証人に遺言内容を知られる。
②手続が面倒で時間がかかる。
③相応の経費がかかる。
結論として

万が一にも相続発生後のトラブル、争いを避けるためには公正証書での遺言書作成をお勧めします。
公証人とは、法律の専門家であって、当事者その他の関係人の嘱託により「公証」をする国家機関です。公証人は、裁判官、検察官、弁護士あるいは法務局長や司法書士など長年法律関係の仕事をしていた人の中から法務大臣が任命します。
法的に無効な内容を遺言に書いてしまったり、不明確なため後の争いになるようなことをプロの目でチェックし、正しく導いてくれます。
手続きが面倒ですが、行政書士等の士業にお任せいただければ責任をもってお仕事遂行させていただきます。

相続業務

1.相続人調査

まず、「相続人の範囲」を確定します。
例えば、親が亡くなって相続する場合、被相続人の子の数(自分の兄弟姉妹の数)は当然把握していますが、登記手続き、銀行手続き等の際には相続人の数を収集した書類を使って明確にしなければなりません。そのために被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を揃える必要があります。
なぜ出生からの戸籍が必要かというと、前婚があり前妻が引き取った子がいても父が転籍等して戸籍が作り替えられると、その子の記載が無くなります。認知した子や異籍の養子がある場合も同様です。そのため出生から死亡までの戸籍を揃える必要があります。
被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合はさらに大変です。被相続人の出生から死亡までの戸籍のほかに、相続人となる兄弟姉妹の数を確定するために被相続人の親の出生から死亡までの戸籍を収集します。兄弟姉妹に死亡している人がいる場合は代襲相続人となる甥姪の数を確定するため死亡した兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍も収集します。

2.相続関係説明図の作成

相続関係説明図とは、亡くなった人(被相続人)と相続人の関係が一覧になってまとまっている表です。相続関係説明図は相続で必ず作らなくてはいけないものというわけではありませんが、相続関係説明図があれば、複雑な相続関係であっても一目で分かります。相続人を一覧にまとめておくと、遺産分割に関するさまざまな手続きや相談時に役立つので、相続人調査が終わったらすぐに相続関係説明図を作成しましょう。

3.相続財産調査

料金表

金額備考
相続人確定調査40,000円
相続財産特定調査40,000円
自筆証書遺言作成指導20,000円
公正証書遺言作成80,000円証人1名分の費用が含まれます