2026年6月19日公布「改正廃掃法」―鉄くず・スクラップ・使用済機械を扱う事業者は許可要否の確認を
2026年6月19日、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第43号)が公布されました。
今回の改正では、これまで廃棄物処理法の規制が及びにくかった、有価物として取り扱われる使用済みの金属・プラスチック物品について、新たな許可制度が設けられます。
そのため、鉄くず、非鉄金属、使用済機械、電気機器、雑品スクラップ、廃プラスチック等を取り扱う事業者は、法人・個人を問わず、自社の事業が新制度の対象となるかを早めに確認する必要があります。
今回の改正で何が変わるのか
従来、事業者が取り扱う物が廃棄物に該当する場合には、廃棄物処理法による収集運搬業・処分業の許可、保管基準、処理基準等が適用されていました。
一方、買い取った鉄くずや使用済機械などが有価物と判断される場合には、原則として廃棄物処理法の対象外となります。
しかし、有価物として取り扱われる物であっても、不適正な保管、解体、破砕、選別等によって、次のような問題が発生することがあります。
- スクラップの崩落
- 騒音・振動
- 油や汚水の流出
- 火災
- 粉じんや悪臭
- 土壌・水質汚染
- 周辺住民とのトラブル
このため、改正法では、生活環境上の被害を生じるおそれがある使用済金属・プラスチック物品について、保管業・再生業を原則として都道府県知事の許可制とする制度が新設されました。
新たに対象となる可能性がある事業者
例えば、次のような事業を行っている場合には、新制度の対象となる可能性があります。
- 鉄くずや非鉄金属を買い取り、ヤードで保管して販売する
- 使用済みの機械・設備を買い取る
- モーター、配電盤、制御盤、電線等を取り扱う
- 金属とプラスチックが混在するスクラップを扱う
- 使用済機械や電気機器を解体する
- スクラップを切断、破砕、圧縮、選別する
- 金属やプラスチックを分離し、再生原料として販売する
- 雑品スクラップを輸出する
- 中古機械輸出業とスクラップ回収業を併営する
いわゆる「スクラップ業者」「鉄くず回収業者」「再生資源業者」だけでなく、設備撤去業者、解体業者、中古機械買取業者、貿易業者等も確認が必要です。
「もっぱら物業者」でも対象になる可能性があります
古紙、くず鉄、空き瓶類、古繊維は、一般に「もっぱら物」と呼ばれています。
廃棄物であるくず鉄等を専ら再生利用目的で取り扱う場合には、従来の廃棄物処理法上の許可不要特例が問題となります。
しかし、業界で「もっぱら物業者」と呼ばれている事業者であっても、有価物として鉄スクラップ、使用済機械、金属・プラスチック混合物等を買い取り、譲渡目的で保管し、又は解体・破砕・選別している場合には、新たな許可制度の対象となる可能性があります。
重要なのは、事業者の名称やこれまでの呼ばれ方ではありません。
判断に当たっては、次のような実態が確認されます。
- 何を取り扱っているか
- 廃棄物か有価物か
- 外部から買い取っているか
- 販売・譲渡するまで保管しているか
- 解体、破砕、切断、選別等をしているか
- 保管場所の規模はどの程度か
- 既存の廃棄物処理業許可を持っているか
したがって、「昔から鉄くずを扱っている」「廃棄物処理業の許可は不要と言われてきた」という理由だけで、今回の新制度も対象外になるとは限りません。
新たに設けられる二つの許可
改正法では、大きく分けて二つの許可制度が設けられます。
1.保管業の許可
対象となる使用済金属・プラスチック物品を、他者に販売・譲渡するために業として保管する場合には、原則として都道府県知事の許可が必要になります。
許可業者には、保管基準の遵守、帳簿の作成・保存、変更手続等が求められます。
なお、保管事業場の敷地面積が一定以下の場合など、政令で定める者は許可対象から除外される予定です。
2.再生業の許可
対象物品について、解体、破砕、選別その他の再生行為を業として行う場合には、原則として再生業の許可が必要になります。
再生業についても、施設・能力に関する基準、再生・保管基準、帳簿、変更許可、更新等の制度が設けられます。
廃棄物処理業の許可を持っていれば必ず不要とは限りません
改正法には、一般廃棄物処理業者、産業廃棄物処理業者、処理施設設置者等について、一定の特例が設けられています。
ただし、既存許可を持っているというだけで、すべての取扱いが自動的に新許可の対象外になるわけではありません。
例えば、既存の産業廃棄物処理業許可の事業範囲、取扱品目、施設内容等と、新制度で取り扱う物品・行為との対応関係を確認する必要があります。
そのため、許可証の有無だけで判断せず、実際の業務内容と照合することが重要です。
施行はいつからか
新たな使用済金属・プラスチック物品の許可制度は、公布の日から起算して2年6か月を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。
具体的な施行日は、今後公布される政令によって決まります。
また、許可の対象となる物品、許可対象外となる小規模事業場の面積、施設基準、帳簿の記載事項、保管・再生基準等についても、今後、政令・環境省令により具体化されます。
したがって、現時点ですべての要件が確定しているわけではありません。
しかし、施行直前になってから対応を始めた場合、施設改善、図面作成、事業計画の整理、行政との事前相談等が間に合わない可能性があります。
今の段階で確認しておきたいこと
対象となる可能性がある事業者は、まず次の点を整理しておくことをお勧めします。
取扱物の確認
- 鉄くず
- 非鉄金属
- 使用済機械
- 電気・電子機器
- モーター
- 配電盤
- 電線
- 金属・プラスチック混合物
- 廃プラスチック
- 解体後の部材
取引の確認
- 有償で買い取っているか
- 無償で引き取っているか
- 処理料金を受け取っているか
- 運搬費を誰が負担しているか
- 販売先・再生先が確保されているか
- 売買契約書、計量票、仕切書等が整っているか
作業内容の確認
- 保管のみか
- 選別しているか
- 切断しているか
- 解体しているか
- 破砕しているか
- 圧縮しているか
- 金属とプラスチックを分離しているか
施設の確認
- 事業場の敷地面積
- 保管場所の位置・面積
- 囲いの有無
- 保管高さ
- 排水設備
- 油水分離設備
- 消火設備
- 重機・破砕機等の設置状況
- 周辺住宅との距離
許可が必要かどうかは個別判断です
改正法の対象となるかどうかは、単に「鉄くずを扱っている」「有価物として買い取っている」という一つの事情だけでは決まりません。
取扱物の性状、事業の継続性、保管目的、再生工程、事業場規模、既存許可の有無等を総合的に確認する必要があります。
また、国の新制度だけでなく、自治体のスクラップヤード条例、都市計画法、建築基準法、消防法、騒音・振動規制、排水規制、古物営業法等が併せて問題となることもあります。
まとめ
今回の改正は、これまで廃棄物処理法上の許可を受けずに、有価物として使用済金属・プラスチック物品を取り扱ってきた事業者に、大きな影響を与える可能性があります。
特に、
- 鉄くずを買い取って保管している
- 使用済機械を解体している
- 雑品スクラップを扱っている
- 金属とプラスチックを分離している
- ヤードで切断・破砕・選別をしている
という事業者は、早めの確認が必要です。
政令・環境省令の公布を待つだけでなく、今のうちに自社の取扱物、作業工程、施設、契約書、帳簿等を整理しておくことが、円滑な制度移行につながります。

